SATELLITE ARCHIVE

// Lunar soft lander · NASA / JPL · 1966-045A

サーベイヤー1号
SURVEYOR 1

サーベイヤー1号は、米国初の月面軟着陸を成功させた無人着陸機。アポロの前に、月面が宇宙船を受け止められる場所なのかを、写真と工学データで確かめた。

1966
軟着陸
11,000+
送信画像
Oceanus
Procellarum着陸
成功・運用終了🇺🇸 NASA / JPL月着陸

01基本情報

月面へ軟着陸し、周囲の地形と機体状態をテレビカメラで調べたアポロ準備ミッション。

開発・運用NASA / Jet Propulsion Laboratory
打上げ1966年5月30日 Atlas-Centaur, Cape Kennedy
着陸1966年6月2日 嵐の大洋付近
状態成功・運用終了
種類月面軟着陸機
主目的月面地形、表面支持力、着陸技術、テレビ画像取得
通信月面から地球へ直接送信
国際標識番号1966-045A

02ミッション

サーベイヤーは「月面に行けるか」ではなく、「そこに安全に降り、機体が沈まず、作業できるか」を調べるためのシリーズだった。

アポロの前に地面を確かめる

人間を月へ送るには、月面が着陸船を支えられるかを知る必要があった。柔らかい厚い塵に沈むのではないかという不安もあった。サーベイヤー1号は、月面に直接降りて機体の沈み込みや周囲の地形を見せ、有人着陸に必要な確信を増やした。

直接降下という難しさ

サーベイヤー1号は月周回軌道へ入ってから降りたのではなく、地球からの遷移軌道から月面へ直接降下した。速度を落とし、姿勢を保ち、着地時の衝撃を抑える。失敗すれば月面に衝突するだけの一発勝負だった。

写真は科学であり、安心材料でもあった

月面からのテレビ画像は、地形、岩、影、機体の脚まわりを確認するために使われた。NASAはサーベイヤー1号が1万枚以上の画像を送ったと説明している。単なる記念写真ではなく、着陸工学の証拠だった。

無人機が有人機の道をならす

アポロ11号の成功は、突然の跳躍ではない。レンジャー、ルナー・オービター、サーベイヤーが、衝突撮影、軌道撮影、軟着陸確認を分担した。サーベイヤー1号は、その中で「降りて立つ」部分を最初に通した。

着陸技術をデータにする

サーベイヤー1号は、月面の写真を撮るだけでなく、降下レーダー、逆噴射、脚の沈み込み、機体の傾きといった工学データを返した。アポロで人間が降りる前に、月面が機械を受け止める場所であることを実測で確かめた。

直接降下は余裕の少ない方式であり、月周回で様子を見る段階を挟まない。だからこそ、誘導、減速、接地、通信、カメラ指向が一体で成立する必要があった。

  1. 1966-05-30
    打上げ
    Atlas-Centaurで月へ向かう。
  2. 1966-06-02
    月面軟着陸
    米国初の月面軟着陸に成功。
  3. 1966-06-02
    着陸直後の機体確認
    脚まわりと周囲の月面を撮影し、機体が安定して立っていることを確認した。
  4. 1966-06
    初期画像送信
    着陸地点と機体周辺の画像を大量に送る。
  5. 1966-07
    月の夜を越えた運用
    過酷な熱環境を経て、追加画像と工学データを返した。
  6. 1967-01
    最終交信
    月面での運用を終える。
  7. 1969
    アポロ着陸設計へ接続
    サーベイヤー計画の月面支持力データは、有人月着陸の判断材料になった。

月面環境を運用で確かめる

サーベイヤー1号の成果は着陸成功だけではない。着地後の通信、熱、電力、カメラ運用を通じて、月面で機械を働かせ続ける条件を確認した。

03エピソード

直接降下、脚元の一枚、月夜後の微弱信号。月面に降りて残るための三つの判断を一次資料で追う。

時速五八四〇mileを、三脚が受ける三mileまで落とす

1966年6月2日06時17分36秒UT、Surveyor 1は月周回へ入らずOceanus Procellarumへ直接降下した。着地2分46秒前、高度46.75 mileで9,000 lbfの固体retrorocketを点火し、約5,840 mphの接近速度を大半消した後、使い終えたmotorを投棄。四beam radarの高度・速度を三基のvernier engineへ返して約3 mphまで絞った。最後に一度bounceして三脚で立ち、63時間36分の飛行を、衝突ではなく地上から再び指令できる米国初の月面軟着陸へ変えた。

三十六分後の脚元が、一地点の支持力を推測から測定へ変える

着地から36分後、Surveyor 1が最初に返した画像には、自分のfootpadと暗い月の土が写っていた。もし接地点が極端に弱ければ脚の沈下、傾き、telemetryの姿勢に現れるが、機体は安定し、7月6日まで二回の通信期間で11,240枚を送った。JPLは画像、着地時の応答、温度・radar dataからFlamsteed P周辺のbearing strengthを評価した。これは月面全体の安全を証明するものではないが、少なくとも実際の一地点で着陸脚がどう支えられたかを、Apolloの脚設計と着陸候補評価へ渡せる工学条件にした。

八回目の月夜後、Canberraが十二時間だけ声を拾う

月面夜は約二週間続き、機体は深い低温と無発電を越えなければならない。運用220日目の1967年1月初め、Canberra局は八回目のlunar nightを越えたSurveyor 1から予想より弱い信号を捕捉した。teamは受信状態を保ちながら二系統のtransmitterを交互に起動し、約12時間telemetryを得たが、電力と信号余裕が足りずcameraまでは戻さなかった。すべてを同時に起こすのでなく、receiverとheaterで生き残った系統から順に試す判断が、最初の30日観測を越えて、月面機が反復する昼夜へ耐える実測を残した。

04月遷移・直接降下

月周回軌道には入らない。地球出発から63時間36分後、月面へほぼ鉛直に接近し、高度約75 kmで主逆噴射を開始。固体ロケットを投棄した後は3基のバーニアをレーダで絞り、高度約3 mで停止して最後だけ自由落下した。

Surveyor 1の地球から月への遷移とレーダ誘導軟着陸左は63時間36分の月遷移、右は別尺度の終端降下。遷移機は左の月接近まで進み、右では主逆噴射、バーニア降下、短い自由落下を順に表示する。 NO PARKING ORBIT · ONE CONTROLLED DESCENT63時間36分の遷移と、最後の約3分を二つの尺度で読む。 01 · EARTH → MOON月周回を挟まない直接遷移地球1966-05-30Atlas-Centaur16時間後中間軌道修正月面へ直接接近着陸点誤差 約14 km 02 · TERMINAL DESCENT · 拡大固体逆噴射 → バーニア → 接地主逆噴射 38秒3基バーニア約3 mで停止高度約95 km:高度標定レーダ高度約75 km:固体主逆噴射点火高度約10.7 km:主逆噴射終了モータケース投棄RADVS:高度・Doppler速度バーニアを連続絞り込み1966-06-02 · Oceanus Procellarum 打上げ中間修正直接接近主逆噴射レーダ誘導3点接地05-30Δv 約72 km/h63.6時間約75 km3 verniers06-02左は地球—月の遷移、右は高度約95 km以降の降下を拡大。月周回軌道は使用しない。
  1. 01Atlas-Centaur1966年5月30日、月遷移へ直接投入。
  2. 02中間修正打上げ約16時間後、着陸点へ小さく補正。
  3. 03月面へ接近着陸30分前、主逆噴射を飛行方向へ向ける。
  4. 04主逆噴射固体ロケット38秒で約2,610 m/sから約119 m/sへ。
  5. 05バーニア降下RADVSの高度・速度で3基を自動制御。
  6. 06自由落下・接地高度約3 mで停止し、三脚で月面を受け止めた。

05搭載機器

TV

テレビカメラ

月面地形、脚まわり、太陽高度による見え方を撮像した主観測装置。

RADAR

降下レーダー

高度と速度を測り、月面への減速と軟着陸を支えた。

LANDER

着陸脚・衝撃吸収構造

月面支持力を実際の着地で確認し、機体を安定させた。

06設計

Surveyor 1は、約27 kgの薄肉アルミ三角構体を骨格に、質量の6割以上を占める固体主逆噴射ロケットを中央へ置いた。高度標定レーダが主逆噴射を始め、RADVSの高度・Doppler速度を閉ループ誘導へ返し、3基のバーニアと三脚が最後の着地を分担する。

Surveyor 1の着陸機構、レーダ誘導、電力、テレビ通信系統三角構体と三脚、固体主逆噴射ロケット、三基のバーニア、二種のレーダ、テレビカメラ、太陽電池、銀亜鉛電池、通信系を実際の役割ごとに静的実線で接続する。 RADAR CLOSES THE LOOP · LEGS PROVE THE GROUND 三角構体 — 降下の制御系と月面観測所を同じ骨格へ 固体主逆噴射質量の60%以上 V1V2V3 3脚 · ショックアブソーバ · 歪みゲージ 太陽電池Planar HGA TV CAMERA遠隔パン・チルト AMR高度標定レーダRADVS高度・Doppler速度 Omni antennaCOMMAND / DATA 終端降下 — 二つのレーダが別の仕事をする AMR · 約95 km自動シーケンス開始Flight programmer点火・投棄を指令主逆噴射大半の速度を除く RADVS高度・速度を連続測定Guidance control誤差から推力を計算3 Verniers絞り・姿勢を制御閉ループ:測る → 計算 → 噴射 → もう一度測る 月面運用 — 電力と画像通信を並列に支える Solar panelPower regulationAg-Zn battery通信・カメラ・ヒータへ配電 TV camera11,240 framesTelemetry画像・工学値HGA / Omni送受信切替Deep Space Network地球コマンド ↔ 月面データ 着陸脚は支持構造であると同時に、歪みゲージで月面の支持力と跳ね返りを測る工学センサだった。

サーベイヤー1号は、三脚型の着陸機として月面に立つことを最優先に設計された。減速ロケット、姿勢制御、レーダー、着陸脚、カメラが、接地の数分間に集中して働く。

軌道機ではなく、地面の機械

月周回で観測する機体と違い、着陸機は最後に地面と衝突する。脚の強度、重心、接地時の姿勢は観測装置と同じくらい重要だった。

カメラは首を振る観測者

テレビカメラは周囲を見回し、月面を多数の角度で撮った。固定された無人機でも、カメラの指向があれば地形を読む力が生まれる。

接地するための機体設計

着陸機では、観測装置より先に「倒れず立つ」ことが成立条件になる。三脚構造、衝撃吸収材、重心配置、降下レーダー、スロットル可能な減速系が、接地の数分間に集中して働いた。

月面上ではカメラの首振りが観測範囲を決める。移動しない機体でも、テレビカメラの方位・仰角を変えれば、地形、脚、影、表面粒度を多方向から読み取れる。固定着陸機としての観測設計はここにある。

月面で自立するための熱と通信

サーベイヤー1号は月面に降りた後、地球へ直接通信し、太陽電池と電池で機体を保った。月面は昼夜の熱差が大きく、着陸直後だけ動けばよい機体ではない。カメラ、通信、電源、熱制御は、着地後の数週間を見込んで設計されていた。

月面上ではアンテナ指向も重要である。動けない着陸機が地球と通信し続けるには、機体姿勢、アンテナ、太陽方向、カメラ観測の関係を運用で調整する必要がある。月面に立つだけでなく、立った状態で観測施設として働く設計だった。

地面に触れるセンサとしての脚

サーベイヤー1号の着陸脚は単なる支持構造ではない。どの程度沈み、どのように荷重を受け、機体がどれだけ傾くかは、月面支持力を読む工学データだった。月面の性質を知るために、機体そのものが地面に触れるセンサになっていた。

カメラ架台の重要性

サーベイヤー1号は移動できないため、カメラをどれだけ向けられるかが観測範囲を決めた。首振り機構、焦点、露光、通信の組み合わせが、固定着陸機を月面観測者として成立させている。

脚と視野を同時に読む

脚の接地状態をカメラで確認できることも重要だった。着陸構造と観測装置が互いを検証する配置になっていた。

08関連文献

1960年代の月着陸実証機であり、NASA/JPL/NSSDCAの一次資料と計画報告を優先する。査読論文より、公式ミッション記録がページの裏取りに適している。

  • NASA Surveyor 1 mission page
    打上げ、軟着陸、画像枚数、ミッション概要を確認。 · NASA Science
  • NSSDCA Surveyor 1
    国際標識番号と探査機情報への参照。 · NASA NSSDCA
  • JPL Surveyor 1 mission page
    月軟着陸、ミッション統計、主要成果をJPL側のミッション概要で確認。 · NASA/JPL