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// 陸域地球観測 · 1999-020A

ランドサット7号
Landsat 7

ETM+の15 mパンクロ・30 m多波長・60 m熱赤外でLandsat記録を継ぎ、SLC故障後も観測を続けた。

8band
ETM+
15m
パンクロ分解能
22年超
画像取得期間
運用終了🇺🇸 米国 / NASA陸域地球観測

01基本情報

打ち上げ、機体、軌道、運用の主要諸元。数値だけでなく任務上の役割を併記する。

開発・運用米国 NASA
打ち上げ1999年04月15日 Vandenberg
ロケットDelta II 7920
国際標識1999-020A
状態運用終了
質量約2,200 kg
軌道・航路高度約705 km太陽同期
電源太陽電池
設計形式earth-observer
主要目標全球陸域の30 m長期記録

02ミッション

全球陸域の30 m長期記録を、要求・機体・軌道・運用判断・遺産の五層から読む。

何を変えるための飛行だったか

Landsatの全球陸域記録を高い幾何・放射精度で継続し、変化検出を運用化することが目的だった。 Landsat 7を理解する出発点は、打ち上げ年や機体サイズではなく、当時まだ測れなかった量、成立していなかった運用、あるいは越えられていなかった距離を特定することにある。中心課題は「全球陸域の30 m長期記録」。その要求は観測装置だけで完結せず、軌道、電力、通信、熱、地上系を同時に縛った。

代表値の8 band(ETM+)、15 m(パンクロ分解能)、22 年超(画像取得期間)は、単なる記録ではない。どの局面へ設計余裕を配分したかを示す手掛かりである。ETM+の15 mパンクロ・30 m多波長・60 m熱赤外でLandsat記録を継ぎ、SLC故障後も観測を続けた。 本ページでは成果だけでなく、その成果を可能にした判断の連鎖まで追う。

要求を機体へ落とし込む

ETM+、固体記録器、X帯下り、GPS姿勢・軌道系を統合した。 機体は約2,200 kg、電源は太陽電池。主要構成のETM+(Enhanced Thematic Mapper Plus)、SLC(走査線補正器)、SSR(固体記録器)は独立した部品ではなく、観測または運用の要求をデータへ変え、保存し、地上へ渡す一本の経路を作る。X-BAND(高率下り通信)はその途中で姿勢・環境・相対位置の条件を整える。

さらにGPS(精密軌道決定)とACS(三軸姿勢系)を組み合わせることで、一つの故障がただちに全任務へ波及しないよう機能を分担した。重量や消費電力を増やせば安全になるとは限らず、打上げ能力、放熱面積、指向精度、通信時間との交換になる。Landsat 7の設計は、限られた資源を任務の決定的瞬間へ集中させた結果として読むべきである。

軌道は移動経路ではなく実験装置

16日回帰で全球撮像を計画し、直下左右の重複と地上基準を使って標準プロダクトを生成した。 地球周回では高度だけでなく、軌道傾斜角、昇交点の向き、地方時、地上局可視時間が観測と通信を決める。投入後は姿勢確立、太陽電池展開、初期捕捉、軌道補正を順に行い、定常運用の地上軌跡へ収束させる。図では地球自転と衛星公転を別周期で動かし、同じ地点の上に静止しているように見えない実際の関係を表した。

打上げにはDelta II 7920を使い、Vandenbergから高度約705 km太陽同期へ入った。1999の「観測開始」から2022の「科学観測終了」まで、軌道変更は観測の前準備ではなくミッションそのものだった。下のアニメーションでは、主要天体の運動、遷移航路、目的地近傍の運用を意図的に別速度で示している。

運用現場で何を判断したか

2003年のScan Line Corrector故障後は画像欠損を明示し、複数時期合成と運用継続で価値を保った。 実際の運用では、取得したテレメトリを正常・異常の二値に分けるだけでは足りない。姿勢誤差、電池残量、温度、通信余裕、推進剤、次の可視時間を並べ、今すぐ続行する価値と安全側へ戻る価値を比較する。自動シーケンスは通信遅延を埋める一方、誤った前提のまま進む危険も持つため、停止条件と地上復帰点が設計された。

欠損付きSLC-off観測へ運用変更。 この一局面を成立させたのは、個別装置の性能より、時刻基準と状態遷移を全系で共有したことだった。観測機なら較正と指向、通信衛星なら回線と姿勢、有人機なら生命維持と退避経路、探査機なら自律航法とセーフモードが判断軸になる。Landsat 7の運用史は、設計図では見えない余裕の使い方を記録している。

残ったデータと設計遺産

無料公開政策と長期運用によりLandsat利用を爆発的に拡大し、Landsat 8/9との連続記録を支えた。 成果は発表時の新規性だけでなく、後年の再解析、後継機との比較、規格や訓練の変更に耐えるかで価値が決まる。Landsat 7が残したものは、観測値、運用ログ、軌道決定値、故障時の判断、製作試験の記録を結び付けた参照系である。

後継計画は同じ機体を再現するのではなく、ETM+(Enhanced Thematic Mapper Plus)で得た能力を更新し、GPS(精密軌道決定)で見えた制約を別の技術で解く。成功した任務も、終了・失敗した任務も、どの前提が正しくどの余裕が不足したかを具体化した点で次の設計に効く。一次資料とアーカイブを併記したのは、物語だけでなく検証可能な記録へ戻れるようにするためである。

USGS — Landsat 7、NASA Technical Reports Server、NASA Earthdata Searchを突き合わせると、1999年04月15日の打上げから2022の「科学観測終了」までが、単なる出来事の列ではなく、要求、実装、軌道上判断、成果公開の因果関係として読める。本文では確定した事実と後年の評価を混同せず、数値には対象と条件を添えた。図も同じ原則で、距離や天体寸法を実寸比例にはせず、全球陸域の30 m長期記録に必要だった遷移、会合、観測区間の順序を優先している。したがってLandsat 7の価値は「飛んだか」だけではなく、どの設計仮説が実運用で支持され、どの不確かさが次の計画へ持ち越されたかまで追跡して初めて見えてくる。

  1. 開発期
    要求と方式の確定
    Landsatの全球陸域記録を高い幾何・放射精度で継続し、変化検出を運用化することが目的だった。
  2. 1999-04-15
    打上げ
    Delta II 7920で高度約705 km太陽同期へ投入。
  3. 1999-04-15
    初期機能確認
    Enhanced Thematic Mapper Plusと走査線補正器を立ち上げ、電力・熱・通信・姿勢の基準状態を確立。
  4. 1999
    観測開始
    ETM+全球陸域撮像を開始。
  5. 2003
    SLC故障
    欠損付きSLC-off観測へ運用変更。
  6. 2022
    科学観測終了
    軌道低下後にデータ取得を終了。
  7. 飛行後
    成果の継承
    無料公開政策と長期運用によりLandsat利用を爆発的に拡大し、Landsat 8/9との連続記録を支えた。

03エピソード

数字だけでは見えない判断、危機、発見の瞬間を一次資料と結び直す。

失われた22%を隠さず、別の日の地表で楔形の穴を埋める

2003年5月31日、Landsat 7のScan Line Correctorが停止し、衛星前進を補う走査ができなくなった。中央約22 km以外に楔形の欠損が並び、一sceneの約22%を失うため、9月3〜17日の復旧試験後も完全画像へは戻らなかった。ただし残ったpixelの放射・空間品質は変わらない。USGSは故障を補間で隠さずSLC-offと明記し、故障前または別日sceneを放射補正して穴へ入れるgap-filled productを開発した。季節差という新しい不確実性を抱えても、使える78%を捨てず、複数時期を選ぶ運用へ変えて全球記録を継続した。

2022年に8 km譲り、2025年は688 kmで燃料を空にする

Landsat 9がLandsat 8と標準705 km軌道を分担するため、USGSはLandsat 7を2022年4月に約8 km下げ、697 km級へ退かせた。その後の太陽活動で約692 kmまで自然低下し、非操縦化後に他機と交差する危険をさらに減らす必要が生じた。運用班は2025年4月8日と15日に最後の制御燃焼を行い、使用可能な燃料を使い切って約688 kmへ移した。公式発表時点で機体は非操縦状態となったが、25年分の科学dataはarchiveへ残る。後継へ「席」を渡し、最後の推進剤を延命でなく将来の衝突risk低減へ使った終端判断だった。

04軌道・遷移

地球周回では高度だけでなく、軌道傾斜角、昇交点の向き、地方時、地上局可視時間が観測と通信を決める。投入後は姿勢確立、太陽電池展開、初期捕捉、軌道補正を順に行い、定常運用の地上軌跡へ収束させる。図では地球自転と衛星公転を別周期で動かし、同じ地点の上に静止しているように見えない実際の関係を表した。

ランドサット7号の軌道・遷移アニメーション 全球陸域の30 m長期記録に至る主要局面を模式化。距離と周期は読みやすさのため誇張。 LANDSAT 7 / MISSION TRAJECTORY 地球 ランドサット7号 — 高度約705 km太陽同期 軌道形状は投影模式図。高楕円では地球を焦点に配置 天体サイズ・距離・時間は運用局面を見やすくするため模式化
  1. 01要求と方式の確定開発期 · Landsatの全球陸域記録を高い幾何・放射精度で継続し、変化検出を運用化することが目的だった。
  2. 02打上げ1999-04-15 · Delta II 7920で高度約705 km太陽同期へ投入。
  3. 03初期機能確認1999-04-15 · Enhanced Thematic Mapper Plusと走査線補正器を立ち上げ、電力・熱・通信・姿勢の基準状態を確立。
  4. 04観測開始1999 · ETM+全球陸域撮像を開始。
  5. 05SLC故障2003 · 欠損付きSLC-off観測へ運用変更。
  6. 06科学観測終了2022 · 軌道低下後にデータ取得を終了。
  7. 07成果の継承飛行後 · 無料公開政策と長期運用によりLandsat利用を爆発的に拡大し、Landsat 8/9との連続記録を支えた。

05主要機器・サブシステム

任務を実際に成立させた六つ以上の固有コンポーネント。

ETM+

Enhanced Thematic Mapper Plus

多波長・熱・パンクロ撮像。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

SLC

走査線補正器

前進中の走査ずれを補正。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

SSR

固体記録器

全球画像を蓄積。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

X-BAND

高率下り通信

画像を地上局へ送信。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

GPS

精密軌道決定

画素位置精度を向上。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

ACS

三軸姿勢系

16日回帰の視線を維持。他系統の時刻・姿勢・電力情報と結合して運用される。

06機体設計とETM+撮像系

Landsat 7は、単翼太陽電池と円筒形ETM+を軸に、三つの可動Xバンドアンテナ、放熱扉、太陽較正器を実装した。撮像・較正・記録・直接送信を一機で完結する。

Landsat 7のETM+、単翼太陽電池、放熱扉、三つのXバンドアンテナ箱形機体の天底側へETM+、左へ単翼太陽電池、右側へ三つの可動Xバンドアンテナ、上面へSバンド無指向性アンテナと太陽較正器を配置した模式図。 LANDSAT 7 / ENHANCED THEMATIC MAPPER PLUS ETM+ EARTH APERTURE 放熱扉 単翼太陽電池全口径太陽較正器ETM+ · 8帯域 / PAN 15 m可動Xバンドアンテナ × 3 ETM+ FOCAL BANDSPANCHROMATIC 15 m30 m反射域 · 60 m熱赤外 走査鏡が軌道と直交する185 km幅を往復走査

TMを8帯域へ拡張

ETM+は可視・近赤外・短波赤外・熱赤外に15 mパンクロ帯を加えた。反射域30 m、熱赤外60 mで、従来との継続性と細部判読を両立した。

軌道上で光学系を較正

全口径・部分口径の太陽較正器と二つの較正ランプを備え、入射光から検出器までの応答を追跡した。長期画像を同じ尺度で比較するための機構である。

三つのアンテナが地上局を追う

可動Xバンドアンテナ3基が地上局を追尾し、150 Mbpsで観測データを直接送信する。圏外では380 Gbitの固体記録装置へ約100シーンを保持した。

08一次資料・技術文献

仕様、軌道、運用史、データへ戻るための代表的な入口。