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// Geostationary weather satellite · NOAA / NASA · 2022

GOES-18
GOES-WEST

GOES-18は、GOES-Westとして太平洋とアメリカ大陸西側を監視するNOAAの静止気象衛星。雲、雷、山火事、火山灰、宇宙天気までを高頻度で見続ける。

2023
GOES-West就役
16
ABIバンド
GEO
静止軌道
運用中🇺🇸 NOAA・NASA静止気象衛星

01基本情報

GOES-Rシリーズの3号機。GOES-17のABI問題を受け、太平洋側の主衛星を引き継いだ。

開発・運用NOAA / NASA NASAが開発・打上げ、NOAAが運用
打上げ2022年3月1日 打上げ名 GOES-T
就役2023年1月4日 GOES-Westとして運用開始
状態運用中
軌道静止軌道 太平洋上空、赤道上約35,786 km
主観測雲、雷、山火事、火山、宇宙天気
シリーズGOES-R Series
カバー域米国西部、アラスカ、ハワイ、メキシコ、中米、北東太平洋

02ミッション

太平洋の天気は、アメリカ西海岸とハワイ、航空、船舶、山火事監視に直結する。GOES-18はその常時監視点である。

GOES-Westの目

NOAAはGOES-18が2023年1月4日にGOES-Westとして就役したと発表した。担当域は北東太平洋を含み、太平洋ハリケーン、大気の川、沿岸霧、山火事、火山噴火などを監視する。

GOES-17からの交代

GOES-17はABIの冷却系問題で一部時期に画像品質が低下した。NOAAはGOES-18のABIデータを前倒しでGOES-West利用者へ提供し、正式就役後はGOES-17を待機機に回した。これは気象衛星における冗長性の重要性を示す出来事でもある。

宇宙天気も見る

GOES-18は地球の雲を見るだけでなく、太陽活動や高エネルギー粒子を監視する宇宙天気センサも持つ。送電、通信、衛星運用に影響する宇宙環境を、気象衛星の運用枠で監視する。

数分ごとの変化が命を守る

静止気象衛星の強みは、同じ半球を高頻度で見続けられることにある。ハリケーンの眼壁、山火事の発火点、火山灰の拡散、沿岸霧の広がりは、1枚の画像ではなく時間変化として意味を持つ。GOES-18は予報官が状況を追うための、ほぼ常時開いた窓である。

太平洋側の監視拠点

GOES-Westは米国西部だけの衛星ではない。アラスカ、ハワイ、メキシコ、中米、北東太平洋の広い気象を見続け、航空、海運、災害対応へ情報を渡す。日本のひまわりが西太平洋を支えるように、GOES-18は東太平洋側の運用を支える。

  1. 2018-05
    ABI再設計へ
    GOES-17の冷却系問題を受け、GOES-T/GOES-UのABI対策が進む。
  2. 2022-03-01
    GOES-T打上げ
    Atlas V 541で打上げ。軌道上でGOES-18となる。
  3. 2022-03-14
    GOES-18命名
    静止軌道到達後、GOES-TからGOES-18へ名称変更。
  4. 2022-05-11
    初画像公開
    ABIの初期画像として西半球のフルディスク画像が公開される。
  5. 2022-06-06
    136.8度西へ到着
    GOES-West近傍で分割ポストローンチ試験を続ける。
  6. 2022-08
    ABIデータ先行利用
    GOES-17の温暖期問題を補うため、GOES-18 ABIを西側利用者へ混合配信。
  7. 2023-01-04
    GOES-West就役
    GOES-17を置き換え、太平洋側の主衛星へ。
  8. 2030年代
    シリーズ継続運用
    GOES-Rシリーズは、GOES-19や後続GeoXOまでの橋渡しとして運用を続ける。

03エピソード

GOES-18は完成後すぐ交代を待つのではなく、試験中から先代の観測穴を埋め、異常も運用の中で切り分けた。

打上げ65日後、16帯域の初光で海と火山を見分ける

NOAAとNASAが2022年3月1日にGOES-Tを打ち上げ、静止軌道でGOES-18へ改称してから65日後の5月5日、Advanced Baseline Imagerの初画像が届いた。16帯域を一度に合格扱いせず、checkout位置の西経89.5度から雲、海面温度、山火事、火山灰など波長ごとの応答を比較した。そのため打上げ成功を観測成功と混同せず、地上処理と較正を含む約七か月の試験へ進み、同年7月13日のHurricane Darbyも運用前の実天候で追える状態を整えた。

試験中の後継機を、先代が温まる時間だけ前線へ出す

GOES-17のABIはloop heat pipe異常により、太陽光で冷却器が温まる季節・時刻に赤外画像を失う問題を抱えていた。NOAAはGOES-18を2022年7月21日に運用可能と判定すると、正式就役を待たず西経136.8度へ移し、8月からGOES-17の良好な画像とGOES-18の穴埋め画像を時刻ごとに組み合わせた。二機の較正差を予報画面へ持ち込む難しさはあったが、NWSの要請で移行を早め、2023年1月4日にGOES-Westを交代。そのため太平洋側の赤外監視を季節的欠測から連続運用へ戻せた。

Band 7の縞を、先代と同じ冷却故障にしない

2022年7月21日の判定前、GOES-18のABI Band 7には画像の一部がbarcode状になり、低い液体雲を夜間に見ると縦方向のartifactも現れる異常が見つかった。先代GOES-17の大きな冷却問題を知る運用班には同根に見える危険があったが、NOAAと製造・装置チームは発生条件を帯域と場面ごとに分離し、loop heat pipe異常とは異なると確認した。原因調査を続けながら、NWS製品への影響は最小と評価して運用投入を止めなかったため、欠点を隠さず利用者へ明示しつつGOES-West交代を進められた。

04軌道・静止位置への移動

Atlas VはGOES-Tを長円形の静止トランスファ軌道へ投入した。衛星は同じ向きに周回しながら複数回のエンジン噴射で近地点を上げ、2022年3月14日に高度35,786 km級の円軌道へ到達。その後は静止軌道上を西へゆっくりドリフトし、137.0°WでGOES-Westになった。

GOES-18の静止トランスファ軌道からGOES-Westまで左で地球を同じ方向に回る長円形トランスファ軌道から円形静止軌道へ接続し、右で89.5度西の試験位置から137.0度西の運用位置までの順序とABIの観測範囲を示す。 TRANSFER ORBIT → GEOSTATIONARY OPERATIONS 近地点地球に近い側 遠地点で円軌道化進行方向を保った噴射 地球静止軌道 35,786 km級静止トランスファ軌道(模式) 静止軌道上の配置換え 89.5°W 初期試験 136.8°W 試験後半 137.0°W 運用2023-01-04 GOES-West ABI / CONTINUOUS WATCH同じ半球を数分間隔で反復走査 WHY GEO地球の自転と同じ周期で一周地上からは同じ経度上空に静止して見えるABI・GLMが嵐や雷の時間変化を切らさない SCHEMATIC / DISTANCES NOT TO SCALE
  1. 012022-03-01GTOへ分離Atlas VのCentaur上段から長円軌道へ。太陽電池の初期展開後、自力飛行を開始した。
  2. 02MAR 01–14近地点を段階的に上げる各噴射後も地球を同じ向きに周回し、軌道エネルギーを増して近地点を上げた。
  3. 032022-03-14静止軌道・GOES-18命名最終噴射で円形静止軌道に入り、GOES-TからGOES-18へ名称が変わった。
  4. 04MAR–MAY89.5°Wで初期試験磁力計ブームを展開し、ABIを含む機器と衛星系を試験・較正した。
  5. 05MAY–JUL西へドリフト136.8°Wで試験を続け、7月に137.0°Wへ微調整。静止高度を保ったまま経度を移した。
  6. 062023-01-04GOES-West運用137.0°Wから太平洋・米国西部・アラスカ・ハワイを連続監視する主衛星になった。

05搭載機器

ABI

先進ベースライン撮像装置

可視・赤外16バンドで雲、火災、火山灰、水蒸気などを高頻度観測する主センサ。

GLM

静止雷マッパ

静止軌道から雷活動をリアルタイムに近い形で捉える。

SPACE WX

宇宙天気センサ群

太陽X線、高エネルギー粒子、磁場など、宇宙環境の変化を監視する。

06内部設計・三つの観測方向

GOES-18は「地球を見るABI・GLM」「太陽を追うSUVI・EXIS」「その場の粒子と磁場を測るSEISS・MAG」を、一つの三軸安定A2100バスへ載せる。向きの違う機器を、電力・姿勢・データ・熱・推進が同時に支える構成である。

GOES-18の機器配置と電力・姿勢・データ・通信の関係A2100衛星バス、ABI、GLM、SUVI、EXIS、SEISS、磁力計、太陽電池、姿勢制御、推進、Xバンド通信を、意味のある静的な接続だけで示す。 GOES-R SERIES / ON-ORBIT CONFIGURATION ANTENNA WINGA2100 BUSSOLAR ARRAY WING X-band / L-band / UPS地上受信・GRB再配信 CCDH処理・記録PDU + BAT配電・蓄電 AOCSIRU / GPS / wheelsPROPULSIONLAE / station keeping EARTH-POINTED PLATFORMABIGLM 地球16バンド走査雷発光 4 kW超を発電・太陽を一日一回追尾 SPPSUVIEXIS太陽方向 SEISS粒子MAG磁気雑音から隔離 地球指向:ABI / GLM太陽指向:SUVI / EXISその場計測:SEISS / MAG推進・熱・構造

二つの地球センサーは同じ安定面に載る

ABIとGLMは、衛星バスの振動から動的に隔離された高安定・高精度の地球指向プラットフォームへ並列に載る。ABIは16バンドでフルディスク、太平洋域、メソスケール域を走査し、GLMは雲頂の雷発光を昼夜連続で捉える。両者を同じ時刻・同じ視野で重ねるから、雲の成長、上昇流、雷活動の変化を別々の写真ではなく一つの発達過程として読める。

太陽を見る機器だけが別の向きを持つ

SUVIとEXISは地球ではなく太陽を向くため、太陽電池ヨーク内のSun-Pointing Platform(SPP)に置かれる。SPPが季節・日周の見かけの太陽移動を追い、SUVIは極端紫外の太陽像、EXISはX線・極端紫外の放射照度を得る。太陽電池翼も一日一回回って受光面を太陽へ向けるため、「発電する向き」と「太陽を観測する向き」を同じ可動側で成立させている。

その場計測は機体から離す・外へ出す

SEISSは静止軌道周辺を通過する陽子・電子・重イオンを直接測る。一方、MAGは機体の電装が作る磁場を避けるため展開ブーム先端へ離して置く。地球指向のABI・GLMや太陽指向のSUVI・EXISのような「見る方向」は不要だが、周囲環境を汚さず測る配置が必要になる。GOES-R系が機器を三分類するのは、科学分野ではなく姿勢・構造要求が根本から違うためである。

4 kW超の電力と低遅延のデータ系

単翼の太陽電池は4 kWを超える電力を作り、配電・蓄電系から観測機器、CCDH、姿勢制御、通信へ分配する。ABI・GLMなどのデータはCCDHで処理・一時保持され、Xバンドで地上へ送られる。地上系は物理量へ補正した画像・雷プロダクトを生成し、GOES Rebroadcastなどで再配信する。観測から配信までを短く保つことが、台風・大気の川・火災・火山灰の監視を「きれいな画像」から警報インフラへ変える。

姿勢制御と推進は観測を止めにくくする

三軸安定バスはIRU、GPSによる軌道決定、リアクションホイールなどを使い、地球指向面を静かに保つ。液体アポジエンジンは静止軌道への上昇を担い、軌道投入後は小推力系が東西・南北のステーションキーピングとモーメンタム管理を支える。静止衛星は「置かれている」のではなく、太陽・月の摂動でずれる経度と軌道面を補正し続けて初めて同じ半球を見続けられる。

GOES-17の熱問題を後続機へ戻した

GOES-17ではABIのループヒートパイプ異常により、季節ごとの高温時に赤外バンドの利用が制約された。GOES-T/18のABIではラジエータ配管・冷却系の対策と試験が行われ、運用移行前にはGOES-17の温暖期を補うためGOES-18のABIデータを先行利用した。機器単体の改良だけでなく、137°W近傍で二機を切り替える運用計画まで含めて観測の空白を減らした。

08関連文献

  • GOES-RシリーズのABI
    Schmitほか, Bulletin of the American Meteorological Society。16バンドABIの機能と気象応用。 doi:10.1175/BAMS-D-15-00199.1
  • 静止雷マッパGLM
    Goodmanほか, Atmospheric Research, 2013。GOES-Rシリーズの雷連続観測装置とその設計。 doi:10.1016/j.atmosres.2013.01.006
  • GLMによる火球検出
    Rumpfほか, Sensors, 2019。雷観測用GLMを大気突入天体の検出へ使う応用研究。 doi:10.3390/s19051008
  • GOES-Rの太陽EUVモデル
    Thiemannほか, Space Weather, 2020。EXIS/EUVSデータを宇宙天気向け太陽EUV推定へ使う手法。 doi:10.1029/2019SW002333
  • NOAA GOES-18 transition
    2023年1月4日のGOES-West就役、137度西付近での移行、GOES-17交代の公式記録。 NOAA/GOES-R